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企業と投資家の相互理解を深める(1/2)

インベスター・リレーションズ・アドバイザリー部長 朔 慶典氏に聞く

写真 - 朔 慶典氏

UBS証券会社 株式本部
インベスター・リレーションズ・アドバイザリー部長
マネージング・ディレクター朔 慶典氏に聞く
(インタビュー実施:2007年10月)

戦略的なプロダクトとして企業、投資家の双方に高く評価されているUBSのIRアレンジおよびアドバイザリー業務。インベスター・リレーションズ・アドバイザリー部長、朔慶典がそのサービスの真価について語る。

専門チームを世界に配備したグローバルなサポート体制がUBSの強み

UBS証券では、機関投資家および企業双方へのIRアレンジ・アドバイザリー業務を、全世界的に重要な業務と位置づけ、いち早く専門部署を設置しました。日々寄せられる機関投資家、企業双方からの多種多様なIRに関する要望への対応には、全社的に取り組んでいます。具体的には、株式営業部、調査部、投資銀行本部、債券部、資本市場部等々との強固な協力体制のもと、ロジスティクス担当のイベント・マーケティング部、アレンジ業務を主とする株式営業部内のIR専任チーム、それから、インベスター・リレーションズ・アドバイザリー部が、連携してサービスを提供しています。

インベスター・リレーションズ・アドバイザリー部は、株式本部の一部署ですが、コストは投資銀行本部と株式本部の折半で運営されているのが特徴のひとつです。IRアドバイザリー業務では、企業と投資家の両方をお客様とするため、どちらか一方に偏ったサービスにならないよう、また双方の強みを最大限に生かす為に、こうした体制を整えています。

サービス内容は、IRにかかわる業務全般にわたり、なかでも大きな役割の1つが企業と投資家の双方のリクエストに基づいて、直接会う機会や場所をセットアップすること。個別ミーティング、スモール・ミーティング、ラージ・ミーティング、電話/TV会議、工場/研究所等の施設見学会、セミナー、コンファレンスなどがあり、投資家のニーズと経営陣のスケジュールに応じて柔軟に対応します。

具体的にお話すると、投資家向けサービスでは、時間を有効に使って多くの企業とコミュニケーションをとれようにサポートします。投資対象と考える企業の経営陣と意見交換し、疑問点を確認していく作業は、投資決定においてこれまでにも増して重要な位置づけになっています。迅速かつ正確に、そしてタイムリーに、投資家が望む適任者とのアクセスを確保していく能力が求められます。日々変動する市場において、できうる限りフットワークよく投資家のニーズに答えるために、株式営業部内にIR専任チームを設置しています。 また、普段は、なかなかアクセスできない経営者や学会/政財界/業界のオピニオンリーダー的な方々との接点を作ることも私どもの大切な仕事です。

一方、企業向けサービスでは、IRの主要テーマの設定や開催地・時期・実施方法、対象とする投資家のプロファイリングなどについてアドバイスし、IR戦略の立案をサポート。プレゼンテーション資料作成の助言等も、投資銀行本部と協力しながら行う場合もあります。

さらに、実際のミーティングに同席し、質疑応答が円滑に進み、双方の理解度を深めるような現場でのアドバイスやお手伝いも。もちろん、ミーティングが終わった後のフォローアップも欠かせません。投資家の生の声を収集し整理して企業に提供する。それによって、次のIRや経営判断に、市場の声を反映することが可能になればと願っております。

ミーティングのアレンジメントについては、海外の投資家が、年に何回か日本を訪れ、企業訪問のツアーを組む場合や、日本企業が海外IRを行ったり、日本の投資家が日本企業を訪問する場合もあります。当社では、年間を通じて、国内外で1万数千件を超えるミーティングをアレンジしています。

こうしたIRサービスを支えているのが、高い専門性を備えたプロフェッショナルたち。現在日本では20数名が、ロジスティクス、アレンジ、アドバイザリー、の3つの業務を分担して行っていますが、そのサポート体制は、グローバルに広がっています。これこそ、UBSの強みといえるでしょう。総勢100名規模のIRアレンジとアドバイザリー担当部門が日本・英国・米国・香港にあり、国内外のミーティングのアレンジ、戦略の提案、ミーティング後のフィードバックまで一貫したサービスを提供しています。一方、ロジスティクス専門チームは、世界14カ国で約70名が、日本企業だけでなく、欧米、アジア企業と投資家とIRミーティング設定に関わる諸手配全般を世界中のVIPの皆様からご満足頂ける高い水準で提供しています。

企業のIRはコーポレート・ガバナンスが問われる第3ステージへ

企業にとって良いIRとは、株主、投資家に経営理念を理解してもらい、長期的なパートナーシップを育みながら、価値観や企業の未来像の共有を図ることです。それには、あくまで「あるがまま」の姿を伝えるのが基本。事実の誇大化は避け、マイナス情報も適時開示を心がけることが大切です。

企業が発信した情報をマーケットが誤解、あるいはその価値について読み違え、それが株価に反映されているというケースもあります。割高、割安いずれの場合においても、そのギャップを狭めていく作業が不可欠です。例えば経営者から見て、株価が割安と考えられる場合、短絡的にマーケットが悪い、理解が足らないと考えるのではなく、市場で評価されない理由は何かを考えて修正していくことも重要ではないでしょうか。それには、投資家と直接コミュニケーションをとって、その理由を感じとることが求められます。

企業のIRの歴史を振り返ると、第1ステージはIRの専門部署、担当者を設け、投資家とコミュニケーションをとっていく段階。第2ステージは、投資家のプロファイリングをしながら戦略的に情報を発信する段階でした。そして今、コーポレート・ガバナンスや議決権行使など、日本市場と欧米市場との間で現状や見解、認識に違いが多い問題に関して、どう対応していくかと言ったことまでを議論していく段階-第3ステージを迎えようとしています。

例えば、ステークホルダーの順位についても、欧米では株主、お客様、従業員、取引先などのなかでは、明らかに株主が優先です。ですが、日本では、必ずしも市場での、或いは社会的な、コンセンサスが確立しているとはいえないのではないでしょうか?雇用の考え方やトップマネジメントの選ばれ方などにも違いがあります。そういった違いについて、企業と投資家とがよく議論し、理解を深める作業が今後より必要になってくるでしょう。

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